
「ジェンダーレス」という言葉をよく聞くようになりましたが、ジェンダーレスとは一体どのようなことを指しているのかご存じですか?まだまだ不明確なジェンダーレスという社会的風潮にがビジネスにどう影響をしてくるのか、とても気になるところだと思います。今回はこのジェンダーレスに伴うビジネスの流れについてJMC企画室の見解をお伝えしたいと思います。
1.ジェンダーとは何か?
ジェンダーレスという言葉ですがあまり馴染みがないという方も多いかもしれません。そこでまずは「ジェンダー」の意味について理解していきたいと思います。
ジェンダーとは生物学上のオス・メスの区分けではなく、社会的・文化的につくられる〈男らしさ〉〈女らしさ〉のこと。男女の性役割や行動様式,外見,心理的特徴をいう。 「大百科マイペディアより(一部編集)」
全人類で考えるなら生まれ持った性を見れば男女は分けられます。それに対しジェンダーとは文化によって判断される「女らしさ」「男らしさ」のため、全人類に通用しないその国(文化)の社会通念によって成されているものです。
つまりジェンダーレスとは、ある文化における「女性らしさ」「男性らしさ」の線引きをなくそうとする風潮であり、「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」という考え方が見直されつつあるのです。
近年日本でも性差をなくそうという動きが見られます。これまで女性だけに与えられていた育児休暇を男性にも適用されるようになり、女子禁制だった高校野球の甲子園大会でも女子マネージャーのベンチ入りがスコアラーとしてですが了承されています。ただこれらは今に始まったことではなく何年も前から男女雇用均等法制定等の流れから男女の平等化の議論が交わされ、やっと形になってきているものなのです。
自分が持って生まれた性とは反対の気持ち(自覚)を持つ人を性同一性障害と診断されますが、そのような人はかなり前から存在しています。今はソーシャルメディアによって個人の主張が多くの人に触れるチャンスがあるため、性同一性障害の人の苦しみや社会的偏見について私達が知ることも多くなりました。そのため社会も性同一性障害を受け入れつつあります。つまりジェンダーレスとは単に男女を中性化して見るというものではなく、性差に関係なく個人の人権を尊重しようとする本来あるべき処に至っているということなのです。
2.男性化粧品が売れる社会背景とは
今、男性向け商品については次のようなニーズが生まれてきています。
様々な調査や消費者インタビューを定期的に行ってきた結果、従来の肌のトラブルケアだけでなく見た目を重視することへの意識が高まっていることがわかってきた。トラブルをケアしたいというニーズから、トラブルのない肌をキープしたいというニーズへとボリュームゾーンが動いている。また自社調査の結果、”人から褒められる肌を目指したい”というそうは15歳~19歳の28.6%、20歳~24歳の30.6%にも及んでいる「マイナビ記事より」
これらの男性ニーズは一見すると「男性が女性化をしている」ようにも思えますが、実はそうではないとJMC企画室は分析します。なぜならこのような男性の傾向は社会的背景が大きく影響をしているからです。男性が美肌を保ちたいニーズ傾向のウラには、日本人の食生活の変化や韓流文化の輸入がその一因となっていると考えます。
●食文化の欧米化→日本人の体臭の変化→「匂いケアと同時に他人の反応にも敏感に」
●若者に韓流ブーム→韓国男性俳優は女性並みに綺麗→「男女共に艶肌を求める傾向に」
このような流れがある中でジェンダーレスの流れはマーケティングをより正しくすると思います。JMC企画室は女性マーケティングの専門機関ですが専門であるからこそ「女性はピンクにのみ反応する」と決めてかかることはせず、今を生きるお客さまの生の声をしっかりと分析しています。時代背景からもお客さまのニーズに細かく目を向けたマーケティングをすることは今まで以上に求められ、時代のスピードを汲むことができる企業はお客さまからも支持されるようになるでしょう。
3.マーケティングは男女を分ける必要があるか?
ではマーケティングそものを男女で分ける必要がなくなるかと言えば、そうでないと思います。同性であっても20代と60代とでは好みや傾向が違いますし、ジェンダーレスの流れがあっても性差的な特長はやはり存在すると思うからです。
一番大事なのは従来のマーケティングの型にお客さまをはめすぎないこと。これまで売れていたから明日も売れるだろうではなく、これからは「明日は売れないかもしれない」という前提でマーケティングを丁寧にすることが重要なのです。
市場は女性化をしているとJMC企画室は何年も前から考えており、実際その波は確実に男性マーケティングに及んでいます。銀座にオープンしたGINZA SIXのクリスチャン・ディオールは「顧客に様々な体験を楽しんでもらうためにカフェの併設や雑貨に触れながら最高の時間を楽しんでもらいたい」とフロア設計する他、メンズは世界最大級でVIPルームや広空間で新たな体験を生み出す価値提供をするなど女性向けのマーケティングが応用されているのです。
ではなぜ女性は買い物に「体験」を求めるのでしょうか?それはJMC企画室が提唱している「女性が購買を決める5つのステップ」を見ればよくわかります。
「女性が購買を決める5つのステップ」
①商品のコンセプトからブランドを把握する
②誠意のある商品づくりやオリジナリティに共感する
③ブランドのファンになり情報を収集する
④アミューズメント的体験を求め商品精査をする
⑤売り場での対応で購入を最終決断する
つまり体験をしたい理由とは女性がただ単にモノを買うのではなく「買い物そのものを共感体験として楽しむ」という志向があるためなのです。そしてそれが男性の間にも今、まさに広がっています。女性の5つの購買ステップの詳細はJMC企画室のマーケティング理論「COMASマーケティング®」でご覧になれます。ジェンダーレスマーケティングとしても使えますのでまだお知りになっていない方はチェックしてみてください。(COMASマーケティング®はコチラ)
4.まとめ
消費者をこれまでの固定概念で決めつけるのではなく、お客さま一人一人がどのような変化をしているのかをつぶさに見ていく丁寧なマーケティングが求められてきます。その1つの流れががジェンダーレスであり、敏速にマーケティングをする企業は時代の波に乗ることができるでしょう。しっかりとお客さまの声を聞くまたは代弁してくれる機関の助けを借りるなど、商品開発に取り入れて行きましょう!

この記事を書いた人/五丈凛華